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生前贈与か?遺言による相続か?どちらがいいのでしょうか?

大切な財産を配偶者に子供に継承するにあたって、生前に贈与を行っていいものか、遺言による相続を行うべきか、相続および贈与に関する税制が2015年1月1日から変更となっている点、様々な特例がある点などを考慮しながら見ていきましょう。

内容

1,遺言相続のほうが有利?

相続税、贈与税とも最高税率は55%で同じなのですが、相続税の場合、相続財産が6億円を超える場合に55%の最高税率となるのに対して、贈与税の場合には、4,500万円を超える場合に最高税率の55%が適用されます。

このように、税金面では遺言相続の方が有利なものとなっています。

税金面だけではなく、それ以外でもあなた自身を取り巻く環境によっては、遺言相続のほうが良い場合があります。

あなたのこれから先には、何が待ち受けているかわかりません。
もしも、老人ホームに入居することになった場合、その費用は意外と高額なものとなるでしょう。また、病気により長期間、多額の医療費がかかることもありえます。

一方で、今後、頼りにしようとする人、すなわち受贈者・受遺者となる方が、先に病気になってしまったり、亡くなってしまうこともありえます。

財産の移転は、やはり、本人が亡くなった後とする方が無難なのではないでしょうか。

2,生前贈与が効果的なケースは?

2015年1月から改正となった税制では、贈与税の特例の枠が広がっています。従来、両親と子の間での贈与だけに特例がありましたが、新たに祖父母と孫までの直系親族間での贈与に範囲が広がっています。
また、特例の対象となる「贈与者」は、65歳以上から60歳以上に引下げられ、「受贈者」は、贈与者の推定相続人となる20歳以上の子に加えて孫も対象となっています。

生前に不動産や、事業用財産などを贈与することにより、その人が後継者であることをはっきりさせることができます。生前贈与者の意思を明らかにするとともに、受贈者の自覚を促すこともできるわけです。
ご自分の財産、想いを継ぐことを考える場合、遺言相続か生前贈与か、それは大きな悩み事です。

白鳥法律事務所では、家族構成、ご家族の皆さんの状況、そして、あなた自身のこれからを見据えた上で、しっかりとお話をお聴きして、最善の方法をあらゆる角度からご一緒に考えます。
ぜひ、相続、贈与でお悩み事を抱えていらっしゃいましたら、白鳥法律事務所までお電話ください。失敗の無い相続のために、弁護士があなたのパートナーとなって最善を尽くします。

3,2015年からの相続税・贈与税 変更のポイント

さて、2015年1月1日から相続および贈与に関する税制が変更となりました。
この変更点について簡単に見てみましょう。
大きなポイントは、課税の対象が大きく広がった可能性がある点です。今まで税金を納める必要がなかった方も今回の改正により、納税が必要となるケースが従来よりも増えるものと思われます。

(1)相続税の変更点

相続税については、「基礎控除額」が引下げとなっています。
相続税は、基礎控除額を超える部分について、金額に応じて定められた税金がかかります。
すなわち、相続する金額が、この「基礎控除額」よりも少なければ課税はされず、納税の必要はないのですが、2015年1月からは、この「基礎控除額」が引下げとなっています。

  • 2014年12月31日まで 5,000万円+(1,000万円×法定相続人)
  • 2015年1月1日以降 3,000万円+(600万円×法定相続人)

(2)贈与税の変更点

贈与税は贈与を受け取る側にかかる税金です。贈与税の課税には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があり、いずれかを選ぶことができます。

「暦年課税」方式では、贈与の金額が、1月から12月の1年間で110万円以下であれば、税務署への申告は不要で、贈与税はかかりません。しかし、110万円以上を贈与した場合、金額に応じて税金がかかります。

「相続時精算課税」は、相続税の仮払いのようなものです。贈与を受けた時にいったん贈与税を納めます。数年後に贈与者が亡くなった時に、すでに支払い済みの贈与税と、相続税の差額を精算します。贈与税を多く支払っている場合には、税金の還付が受けられます。

「暦年課税」方式では贈与者と贈与を受ける人との関係は問いません。

(3)贈与税の特例

・従来、両親と子の間での贈与だけに特例がありましたが、新たに祖父母と孫までの直系親族間での贈与に範囲が広がっています。

・直系親族間での贈与では、累計で2500万円までの贈与の場合、申告は必要となりますが、税金がかかりません。2500万円を超える部分に20%の贈与税がかかります。贈与財産の種類、金額、贈与の回数、年数に制限はありません。

・特例の対象となる「贈与者」は、65歳以上から60歳以上に引下げられ、「受贈者」は、贈与者の推定相続人となる20歳以上の子に加えて孫も対象となっています。

・「暦年課税」と「相続時精算課税」については、贈与者ごとに適用できます。父親からは「相続時精算課税」方式で、母親からは「暦年課税」方式とすることも可能です。

贈与、相続の税金額の計算(例)

1,2010年に、父から子へ2,000万円を贈与(始めての贈与)

→累計2,500万円までは贈与税がかからない為、贈与税の支払いは不要です。

2,2013年に父から子へ1,000万円を贈与(2回目の贈与)

→累計で3,000万円となるので、(3,000万円-2,500万円)✕20%=100万円の贈与税

3,2015年に父親が他界し2人の子供に相続が発生

→遺産が5,000万円の場合

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人2名)=4,200万円
遺産5,000万円+贈与済み財産3,000万円-基礎控除額4,200万円=課税遺産総額3,800万円
*1,000万円超、3,000万円以下の相続税率は20%で控除額は200万円

(3,800万円÷2名)✕相続税率20%-200万円=180万円
180万円✕2名=相続税総額360万円

相続税360万円-納税済み贈与税100万円=相続時の納税額260万円

→遺産が1,000万円の場合

遺産1,000万円+贈与済み財産3,000万円=4,000万円
この場合、基礎控除額の4,200万円よりも低いので、相続税はかかりません
また、支払い済みの贈与税100万円が申告により還付されます。

4,生前贈与がいいか、遺言による相続がいいか?

不動産などの財産の贈与について、生前に贈与する方法と、遺言などで相続する方法があります。

どちらの方法を選択するにしても一番の心配ごとは、「どれほどの税金がかかるか?」ということではないでしょうか?

国税庁のホームページに詳しい説明があるのですが、簡単にポイントを3つに絞ってご説明していきたいと思います。

(1)いくらまでなら相続税がかからないのでしょうか?

相続にあたっては、必ず相続税がかかるわけではありません。
相続税は、一定の金額を超える部分に対して課税されます。
この相続税の課税対象とならない一定の金額を「基礎控除額」といいます。
この基礎控除額は、下記の要領で計算します。

(カッコ書きの数字は、平成26年12月31日以前の相続・遺贈の場合の金額です)

600(1000)万円 x 法定相続人の数 + 3000(5000)万=基礎控除額

例えば、4人家族(子供2人)で父親が亡くなった場合

600(1000)万円 x 3人 + 3000(5000)万円 = 4800(8000)万円
が基礎控除額となるわけです。

父親の財産が4800(8000)万円以下であれば非課税ということになり、4800(8000)万円を超える金額に対して相続税がかかることになり、申告が必要となるわけです。

*ここで、ローンや借金がある場合の残金や葬儀費用は差し引くことができます。

例えば、6000(9000)万円の財産があったとしても、家のローンが1500(1000)万円残っていて葬儀費用に100万円かかった場合には、6000(9000)万円 – 1600(1100)万円=4400(7900)万円となり、相続税がかからないことになります。

(2)配偶者の軽減措置とは?

配偶者の場合には、相続税の軽減措置が設けられており、1億6000万円以下の場合、あるいは法定相続分相当額については相続税はかかりません。

ただし、この特例を受けるにあたっては、定められた期限内に手続を行う必要があります。

(3)生前贈与の場合、いくらまでなら無税となるのでしょうか?

一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額が110万円以下ならば、贈与税はかかりません。また、申告も不要となります。

また、「相続時精算課税」という方式を選択することで、2,500万円までを非課税とする特別控除の制度もあります。

さらには、住宅取得をする場合に限って、その資金援助のための贈与について、一定額まで非課税という特例などもあります。

以上が、相続税、贈与税に関する3つのポイントとなるわけですが、相続・贈与は、このような税金面だけでなく、さまざまなトラブルの要因となってしまうことがあります。

(4)生前贈与は慎重に

生前贈与は、受贈者にとっては有難いことですが、それでも、多額の贈与税がかかる危険があります。贈与税がどのくらいかかるのかどうか、予め考えておかないといけません。

また、贈与者からみると、贈与した後に、贈与者と受贈者の人間関係が悪化したり、贈与者の経済状況が変化することがあります。

これからも面倒をみてもらえる、ちょくちょく遊びに来てもらえると思って贈与したのに、贈与した後ちっとも来てくれない。電話しても返事が無い、などと言うケースもあります。
このように、特に贈与は慎重に判断していただきたいものです。

生前贈与か、それとも遺言による相続がいいのかで迷ったら、ぜひ白鳥法律事務所までご相談ください。あなたのご事情、家族構成に応じて、最適な財産分与、相続についてご提案いたします。


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